SpaceX は3つの事業を持っています。ロケットの Space、衛星通信の Connectivity(Starlink)、そして Grok や X、AI向けの計算設備までを含む AI。2026年6月12日に Nasdaq へ上場し、四半期ごとの内訳が外から読めるようになりました。
2026年4-6月の売上7,814百万ドルの内訳は、宇宙が962、衛星通信が4,291、AIが2,561です。社名から想像する順番とは違い、宇宙は全体の12.3%(当サイトの割り算)。営業損益で黒字なのは衛星通信だけで、宇宙とAIはどちらも赤字です。
・事業は3つ。Space(ロケット)/Connectivity(Starlink)/AI(Grok・X・計算設備を含む)
・2026年4-6月の売上 7,814百万ドルのうち、宇宙は 962(12.3%・当サイトの割り算)
・営業損益は Space −542/Connectivity +1,656/AI −1,257。黒字は通信だけ
・宇宙事業の研究開発 1,076 は、宇宙事業の売上 962 を超えている
・設備投資 18,369 のうち 15,828=86%がAI(当サイトの割り算)
・打ち上げサービスは、上期で見ると 978 ← 前年1,056 と減っている
・旧Twitterの広告収入は、AIセグメントの中にある(710 ← 前年870)
・Nasdaq上場は 2026年6月12日。ティッカーは SPCX
この会社は、3つの事業でできている
会社は自分の事業を3つに分けています。ロケット、衛星通信、AI。並べると別々の商売に見えますが、決算書の上では同じ1つの会社です。

Spaceは再使用ロケットを作って打ち上げる事業です。Connectivityは数千機の衛星で世界中に高速・低遅延の通信を届ける事業、いわゆる Starlink。AIは、基盤モデル Grok、個人・企業向けのAIサービス、旧Twitterにあたる X、AI向けの計算設備を1つにした垂直統合の事業です。
3つ目が唐突に見えるとしたら、それは正しい感覚です。この形になったのは2026年2月2日で、X.AI Holdings Corp との合併が完了した日です(会社はこの日を「xAI Merger Date」と呼んでいます。1月31日はその合併契約を結んだ日)。旧Twitterにあたる X Corp は、いまこの会社の間接子会社にあたります。さらに6月16日には Anysphere, Inc. との合併にも合意しています。
宇宙は、売上の12.3%しかない
金額を並べます。単位は百万ドル、2026年4-6月です。
| Space | Connectivity | AI | 合計 | |
|---|---|---|---|---|
| 売上 | 962 | 4,291 | 2,561 | 7,814 |
| 売上原価 | 329 | 2,060 | 1,106 | 3,495 |
| 研究開発 | 1,076 | 294 | 2,178 | 3,548 |
| 販管費 | 99 | 281 | 532 | 912 |
| 営業損益 | −542 | +1,656 | −1,257 | −143 |
ここで目を引くのは、宇宙の行の上から3番目です。研究開発が1,076。売上962より大きい。売ったぶんより多くを、次に飛ばすものへ注ぎ込んでいます。ただし赤字542は、その差(114)がそのまま出たものではありません。売上962から売上原価329・研究開発1,076・販管費99を引いた残りです。研究開発だけで売上を超えているうえに、原価と販管費がその上に乗っている。
黒字を出しているのは、衛星通信だけ
合計の営業損益は−143。小さく見えますが、これは3つを足した残りです。Connectivity の+1,656 が、Space の−542 と AI の−1,257 をほぼ打ち消して、わずかに届かなかった。そういう形をしています。
言い換えると、この会社の営業損益はStarlink の黒字がどこまで伸びるかで決まる状態にあります。宇宙とAIは、いまのところ稼ぐ側ではなく使う側です。
打ち上げそのものは、上期では減っている
売上を種類別に開くと、もうひとつ向きの違う行が出てきます。

Launch Services は978。前年の同じ半年は1,056でした。宇宙事業の合計で見ても1,581で、前年の1,611より小さい。四半期だけを切り取ると648対490で増えて見えるので、期間の取り方で向きが変わります。半年で見れば、打ち上げは伸びていません。
伸びているのは Consumer(4,633 ← 3,213)と Enterprise & Government(2,915 ← 1,849)、そして AI Solutions & Infrastructure(2,669 ← 595)です。Enterprise & Government には Starlink Mobile が含まれます。
旧Twitterの広告は、AIセグメントの中にある
種類別の中に Advertising という行があります。710。前年の870から減っています。そしてこの行は、Space でも Connectivity でもなく AI セグメントに入っています。AI の上期3,379は、広告710と AI Solutions & Infrastructure 2,669 を足したものです。
ここが効いてきます。AI セグメントの売上は四半期で3.5倍・上期で2.3倍ですが、内訳のAI Solutions & Infrastructure だけは上期で約4.5倍。伸びた行に目が行っても、その中には縮んでいる事業が同居している。区分がこうなっている以上、広告が今後どうなるかは、AI の行を見るだけでは分かりません。1段下の種類別まで開かないと、向きを取り違えます。
お金は、ロケットでも衛星でもない場所にいちばん多く積まれている
その四半期にこの会社が設備へ投じた金額は18,369。行き先を見ると、偏りがはっきりしています。

15,828、つまり86%がAIセグメントです(当サイトの割り算)。ロケットに1,174、衛星と通信に1,367。この2つを足しても、AIの6分の1に届きません。
減価償却の行にも同じ偏りが出ていて、AIだけで1,885。設備を積んだぶんが、これから費用として毎期落ちてきます。AIの赤字1,257は、いま作っている設備の重さでもあります。
営業損失の下で、もっと大きな損失が出ている
上期の営業損失は2,086。ところが税引前損失は4,788です。差の2,700ほどは本業の外から来ています。
- 支払利息 −1,293
- その他 −1,962。ここに債務消滅損1,526が入っている
- 利息収入 +553
−1,293 と −1,962 に +553 を戻すと −2,702。営業損失2,086との差がここで埋まります。
債務消滅損というのは、借金を期限より前に返したときに出る処理上の損です。X と xAI がそれぞれ抱えていたローンと12.5%の社債を、ブリッジローンで返済したことによるもの。現金が1,526出ていったわけではありませんが、損益計算書には損として並びます。
株主資本は127,224。前期末は2,573でした。上場と合併で、貸借対照表の桁がそのまま変わっています。総資産は192,770。
上場したのは、2026年6月12日
この会社が長いあいだ非公開だったのは事実ですが、いまは違います。3月30日にドラフト登録、5月20日にS-1、6月10日に上場承認と証券取引所への登録、6月11日に効力発生、6月12日に最終目論見書。ティッカーは SPCX、市場は Nasdaq です。
読者にとっての意味は1つです。四半期ごとに、この会社の内訳が誰でも読めるようになりました。上のセグメント表も種類別の内訳も、非公開のあいだは外から見えなかったものです。
これから何を見ればいいのか
次の四半期で確かめられる場所を、先に決めておきます。どれも提出書類の同じ行に載るので、比べれば答えが出ます。
| 見る場所 | いまの値 | 何が分かるか |
|---|---|---|
| Space の研究開発 ÷ 売上 | 1,076 ÷ 962 | 1を割れば、宇宙が「使う側」から動き始めた合図 |
| Connectivity の営業黒字 | +1,656 | 会社全体の営業損益は、事実上ここで決まる |
| 設備投資に占めるAIの割合 | 86% | 下がるなら、積む場所が移ったということ |
| Launch Services(半年) | 978(前年1,056) | 打ち上げが伸びに戻るかどうか |
| Advertising | 710(前年870) | AIセグメントの中で縮んでいる行の行方 |
逆に、この先も分からないことも決まっています。Connectivity の種類別の区分は Consumer と Enterprise & Government の2つで、端末をいくら売って月額でいくら受け取ったかには分かれていません。自社の衛星を自社で打ち上げたぶんの採算も、社内取引として消えます。区分がこの粗さである限り、そこは外から見えません。
よくある疑問
Q. なぜロケットの会社がAIをやっているのですか。
A. 会社が自分でそちらへ広げたというより、2026年2月2日に完了した X.AI Holdings Corp との合併で1つの会社になりました。結果として、ロケットと衛星通信とAIが同じ決算書の中に並んでいます。
Q. 12.3%や86%は書類に載っている数字ですか。
A. いいえ。962÷7,814と15,828÷18,369を当サイトで計算したものです。書類に載っているのは金額のほうです。
Q. 営業赤字143は小さいように見えますが。
A. 3つを足した残りなので、小さいことが安定を意味しません。Connectivity の黒字が1,656から動けば、合計はすぐに大きく振れます。
Q. 衛星通信なら、別の会社もありますよね。
A. 同じ「宇宙から通信を届ける」でも、届け先の作り方が違います。普通のスマートフォンへ直接つなぐ方式を採る会社についてはAST SpaceMobile|2026年上期決算と衛星の状況で数字を追っています。
この会社を一言でいうと
ロケットで名前が知られていて、稼いでいるのは衛星通信で、お金を積んでいるのはAI。3つの顔がそれぞれ別の方向を向いたまま、1枚の決算書に収まっています。
宇宙の側だけを見たい人にとっては、むしろ読みにくくなりました。打ち上げの数字は全体の1割強で、しかも半年で見れば減っている。それでも、その1割強に研究開発を1,076注ぎ込んでいるのがこの会社です。Rocket Lab|2026年上期決算とNeutronの進捗でも同じことが起きていました。打ち上げの売上と打ち上げの実力は、別のところで動きます。
合計の7,814は、この会社について何も教えてくれません。意味があるのは、その下に並ぶ6本の行のほうです。
主な提出書類の対象期間末: 2026-06-30(記事はこれより新しい発表も扱います。日付は本文に書いています)
- 四半期報告書 Form 10-Q(2026年6月期)https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1181412/000162828026052535/spcx-20260630.htm
- 目論見書 Form 424B4(2026-06-12 提出)https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1181412/000162828026042639/spaceexplorationtechnologi.htm
数値は上記の原文から取っています。当サイトは特定銘柄の推奨・目標株価・売買の判断を書きません。








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